ブログ食堂—粗食編


当店のメインメニューは「土鍋ご飯」!
主食が主役のちょっと変わった食堂で、店主とお客の四方山話が今夜もひっそりと繰り広げられます。

2009年10月24日土曜日

過激な食事法にご用心

16PK(客、以下16) こんばんは〜

mi-ma(店主、以下m) あらあら、珍しい事。

16 ご無沙汰してます。自炊するようになってからこちらにお世話になる事も減りまして…

m だと思った。 で、今日は何の話?

16 この前の 肉の話ですけど…

m 現代型畜産の“成果物”の話ね。

16 そ、そうです。私たちが普段口にする食肉のほとんどは、"生物工場"で生産されたモノだって事…。そんな実態を知ると、"肉"を食べたいとはあまり思えなくなりましたよ。たまにで良いかなーって。

m そうよねー、"肉"を食べるのは、たまに外食するときとか、「今夜は飲み会!」ってときぐらいでイイんでない?。普段、毎日のようにみそ汁のダシとして小魚や鰹節を食べてるし、主菜としても旬の魚を食べていれば、それで動物性食品は充分よ! どう?そういう食生活を続けてみて「タンパク質が足りないョ〜〜」と体が訴えてくる?

16 全然!(笑)だいたい、私たちの祖父母世代が子供の頃や、もっと昔の祖先て、今の時代ほど"肉"なんて食べていなかったのですよね?

m 年に数回かな、おめでたい時など特別な日に鶏を絞めたり…あ、そうそう(笑)たまたまイノシシとかが捕れたりした時なんでない? 近所のみんなで分け合って食べたのでしょう、きっと。




16 ところで、女将さん。食生活を気にするようになってから、よく本屋さんで料理本など物色ししたりするようになったんですけど

m ヘェーーーーっ!!

16 ………ちょっと…、驚き過ぎですよー。

m だって、その事を あなたの過去を知る人が聞いたら、ビックリするだろうなぁ〜と思ってさぁ。

16 はぁ、確かに。自分でも、スゴい変わり様だとは思います。…で、

m  ああ、ごめんごめん。本屋で何よ?

16 はい。何だか最近、マクロビオティックと名のつく料理本が、本屋の棚で幅をきかせているんですけど…

m ああ〜っ

16 えっ、女将さん、分かります?

m  ……実はあたし、試した事があるの、それ。

16 へぇ〜〜っ、どんなもんなのですか?

m うーん。まあ早い話、とりあえず玄米ご飯なの。

16 玄米? それって、体にはとても良いんですよね? 白米だと失われている微量栄養素もふんだんに含まれていて。

m うん、まあ、ね。 でも、炊くのが大変なんだぁー。だから、長く続けるのが難しくて辞めちゃった。でさー、もっと大変なのが

16 はい…。何ですか?

m 動物性食品を一切摂らない 。よって、食材として、肉とか魚とか卵は当然使えない。乳製品もね。

16 えーっ!! 今どき、お坊さんでもそういう人いないって聞きますけど。

m マクロビの様な、そういった極端な摂食法は、一般的に玄米菜食主義と呼ばれるものなのよ。おかずのメイン食材として、肉とか魚を省くのは、まぁ、誰でも簡単にできるけどさ…。世間には大豆タンパク質の加工品で「ニセモノ肉」なる食材も売られているからね。

16 はぁ…。今のを聞いただけで、一体何を食べれば良いのか……。特に洋食だと、バターとかチーズの様な乳製品は絶対どこかに使いますよね?

m 甘いな。それが、スープのダシをとるのにも鰹節とか鶏ガラが使えないとなると、料理的にどうなると思う?あなた、想像がつくかなぁ〜?

16 ?????????? もう、ギブアップです! 最近、やっと削り節や煮干しでみそ汁や煮物のダシをとる事を覚えたのに…。

m アハハ…ごめんごめん、私はそこまで徹底して実行してはいなかったわ。ダシなら、昆布とか干しシイタケとか使うんでしょう?良く分からないけど。

16 あ、そうか!

m それであなた、それらの、 “マクロビ料理本” 立ち読みしてみた?

16 いえ…、その、興味全く無くて。

m マクロビを徹底しようとすると、ダシをとるのにもそうやって制限があるから、旨味を効かせるために、あるモノを大量に使うはめになっているの。何だかわかる?

16 ええ? 何でしょうねぇ…?

m ヒントよ。 レシピでは炒める事がとっても多いの。

16 油ですか?

m 正解。やたらと油っこい料理ばかりなの。やっている事はスナック菓子と似た様な事ね。濃い味付けと、油。ダシの旨味がとれないものだから、油でごまかしているのね。アブラ味覚の人にはお気に入りなのかもね。

16 げーっ。

m あと、ね。マクロビの宗派(?)にもよるかとは思うけど、食材に関しても、あれこれ限定的なの。 ただ旬の食材を食べれば良いってもんでもなくて、「アレはだめ」「コレは良い」とかって。結果的に、季節外れのものや、遠くの土地から運ばれてきたものを買い求めて食べる事につながる。

16 あら、まー。ところで、動物性食品を一切摂らないで、動物である私たちは大丈夫んなのでしょうか?

m 分からない。普通に生きている人もいる。でも病院には、どこかで仕入れた玄米菜食主義の食事法を徹底したがために、栄養失調に陥り、月経も止まり、手足がゴボウの様にやせ細って、命の炎が消えかかった患者が少なからず運ばれてくるみたいよ。

16 それは、深刻ですね。

m 今のところ、必須アミノ酸のうちいくつかは、やはり動物からとらないといけない事は分かっているのよ。でも、それはあくまでも現在分かっているものだけでも、って事。誤解しちゃいけないのは、食物や栄養の世界はまだまだ未知な事が多いという事なのよ。私たち人間は、生命が生きていくのに必要な栄養素を次々と解明してはきたけど、 まだ発見されていないビタミンとかもあるのかもしれない。

16 その事は食事を考える上で心得ていないといけない事でしょうね。…っていうか、ご飯でも何でも、何も考えずにモリモリ食べている人の方がよっぽど健康的かも。食べたい物を食べたい時に、食べられる時に食べてれば良いのでは? さっきの様な、死にそうなくらいにまで過激な食事を徹底しちゃう人って、具合が悪くなってきたら「コレはおかしい」ってならないんでしょうかね?

m 昔、マクロビを試した上でヤメて、いま、一歩引いた目線で眺めてみると、マクロビってやつは食生活を考えるというよりは食事療法に近いものだと思う。あ、ちょっと前に流行った、プチ断食に近いものがあるかも。あくまでも期間限定でやるべきだと感じる。現代型の食生活から動物性食品を省いて、しばし断食に近い効果を得るのね。決して、過激な、原理主義的な、私たちの風土を無視した様な食生活を続けてはいけない、と思う。

言ってみればさー、マクロビって新興宗教に近いのよ。ワラをもつかむ思いで健康を手に入れたい人達の目には、とっても魅力的に映ってしまう理論なの。本を読むと、ホント、素敵な言葉の連続なのよねー。 あとあと、面白い事に、マクロビオティック信仰者、またはそのビジネスに関わっている人達はマクロビオティックの事を“自然食”って呼んでいる。

16 アハハ!今までの話からすると、全く自然でないですねぇ〜(笑)むしろ、自然に反している。

m マクロビオティックは"教義主義的食生活論"の一つと考えられるわ。

16 と、いうのは?

m その特徴は、他の食事法を否定する事よ。「うちらの食事が正しくて、他はみんなダメ」という、排他的な考え方よ。こういう指導をする様な人・本は、まず、疑った方が良い。 あと、マクロビの言葉に“正食”というのがあるんだけど、それだっておかしい話ね。この地球上には様々な土地に様々な人々が住んでいるでしょう? それぞれ、気候風土が違えば、採れる植物や、捕獲できる野生動物なども全然違う。そのような中、私たち人間の祖先は、それぞれの環境で食べられるものを食べて生き延びてきたのでしょう?

16 はい。写真集『地球の食卓』などを読むと、民族や国、地域毎に食文化の違いとか分かりますねー。本当にそれぞれです。

m 人間の食にも、その土地土地の環境に応じた多様性が有って当然なのよ。その事を無視し、「コレが正しい、それはいけない」なんて、言うのもおかしな話よね。マクロビオティックの理論によれば、例えば北極圏のイヌイットの人の様な、アザラシの生肉ばかりを食べて生きている人達はかなり不健康だという事になるさ。




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